始めにの段階で、マンションが「負動産」となり、マイホームの「資産価値」にが無くなるという衝撃のつかみで始まった。
上記について、不動産投資の立場から解説するとのことであった。
家の購入を考える自分としては、読むことがいきなり怖くなってしまった。
本の中では「住む」と「投資」を混合して考えている人が多い。
普通考えることとして、家賃を払うこととがもったいないから、買った方がお得であろうと考える。
この書内では狩猟型不動産業と農耕型不動産業に分けて不動産業界を解説していた。
ではマイホームは不動産業と捉えたときどちらに位置するのかというと、通常はどっちつかずの中途半端なものであるとのこと。
家に住むという効用を得ながら、都合の良いときだけ売り払うという投資として考えてしまうと、「売ればローンは消えるから、高めに家の購入金額を設定しても大丈夫」と考えてしまう。
買うならば、出口戦略をしっかり考えるべきと説いていた。
このブログ内でも、損得の分水嶺を検討していたが、ケース②がまさに中途半端な考え方になるんだと感じた。
続いて、2022年生産緑地が宅地となり、賃貸物件として大量に市場に供給される時代が始まるとのことであった。
この部分は自分には理解できなかった。
生産緑地とは、ざっくり言うと農地として登録すれば、税金が優遇される制度のことであるが、登録の期限は30年であり、持ち主が高齢化で農地として維持できないため、税金優遇が取れなくなり、2022年に売却してしまうことが多いという理論であった。
(この制度が施行されたのが、1992年で多くの登録がこの時期にされている)
ということは、あくまで大量に供給されるのは、土地であって賃貸ではないのではないか?という箇所が腑に落ちなかった。またこの問題はこの本だけでなく、以前から言われていることであったが、そんなに影響はないのではないかという楽観論もあり、
この本の言うことを完全に鵜呑みにするのも危険かと感じた。
影響の少ない理由については↓参照
https://smtrc.jp/useful/expert/2022problem.html
次はマンションのリスクについて書いてある。
マンションは共同体であり建物が老朽化してくことで、管理費・修繕積立金がかさみ、払えない人が出てくると、修繕できず、売却もできず、詰みの状態となるとのことであった。
そしてその状況は少なくなく、特に築年数の長い物件に多く、築40年を超えると管理費・修繕積立金を1年以上滞納する世帯が4分の1も発生し、ほかの世帯で穴埋めをしなければならないという事態が起こっている。
賃貸の話題で、ファミリー向けの物件がないことが多いが、その理由と今後は改善傾向になるとのことであり、もう少し待てば、需要者側にメリットの大きい賃貸が出てくるとのことであった。
しかしいつまで待てばよいのかということの記載はなかった。
家を買うために住宅販売所等へ向かう場合、販売側は演出を大事にしており、生活感を見せないことにより、夢を売っているところがあるため、夢を見て注意するように促している。
土地の価値は地盤で決まることにも、言及していた。
不動産ビジネスのプロが土地の資産性を考える場合まず地盤に着目する。
マイホームを「資産」として考えるなら、地盤をまず考えるように促している。
購入のねらい目として、新築マンションの売れ残りが挙げられていた。
通常のマンションでは、ディベロッパーの利益率は5%といわれているので、100戸ぶんじょうして5戸が売れ残ると損益トントンとなり、それ以上に売ると利益になるため、売れ残りを消したいと思っているので、値引きに応じる可能性が高いとのことであった。
そんなうまいこといかないと思いつつ、せかされて買うのではなく、自分のつごうで購入できるようにしたいと感じた。
この本の傾向として、家を買うことはマイナスでしかないということを訥々と語っていたが、家を買う人は発想の転換が必要とのことであった。
例として挙げられていたのは、店舗に貸す住宅をつくる。中古の戸建てを買う。「貸すマイホーム」をつくる。(注:「貸すマイホーム」の注意点として、全体のうち自宅の床面積が50%以上でないと、住宅ローンを組めない。)というモノだった。
店舗として貸すと、マンションと同じ共同体となるし、飲食店となった時害虫が怖いということもあるので、あんまり現実的ではないと感じた。
中古の戸建てに関しては、検討の余地があると思っている。
貸すマイホームに関しては。。。まあ少しは検討の余地はあるだろうか。
それでも、違うコミュニティを自分のコミュニティに引き入れることになるので、リスクは間違いなくあるのだろうと感じるが。
以上本を読んで感じたことは以下の点。
①夢を求めて家を買うべきではない。
②買うなら出口戦略を考えてから購入するべき
③一生賃貸でも、今後はもったいないことはない。
ある意味、知っていることでもあるが、生産緑地のことや、不動産屋から見たマイホームという観点を知ることができて、面白い本だった。